「ニアレストポイント」は、ゴルフ規則で無罰の救済を受けるときの基準になる地点です。規則書(日本ゴルフ協会の日本語版)では「完全な救済のニヤレストポイント」と表記されます。カート道や修理地、水たまりから救済を受けるときに必ず使う考え方なので、正しい決め方を知っておくとラウンド中に迷わずに済みます。この記事では、定義と探し方、救済エリアの測り方、よくある間違い、ペナルティーエリアの救済との違いを順に説明します。
完全な救済のニヤレストポイントとは
完全な救済のニヤレストポイントは、罰なしの救済を受けるときの「基点」です。主に次の場面で使います。
- 異常なコース状態(動物の穴、修理地、動かせない障害物、一時的な水)からの救済(規則16.1)
- 危険な動物の状態からの救済(規則16.2)
- 目的外グリーンからの救済(規則13.1f)
- プレー禁止区域からの救済(規則16.1f、17.1e)
規則の定義では、次の3つの条件をすべて満たす地点とされています。
- 元の球の箇所に最も近く、その箇所よりホールに近づかない
- 要求されるコースエリアの中にある(たとえばジェネラルエリアの球なら、ジェネラルエリアの中)
- 救済を受けようとしている状態による障害がなくなる(球のライ、意図するスタンス、意図するスイング。パッティンググリーン上ではプレーの線も含む)
「ニアレスト(最も近い)」という名前のとおり、プレーヤーにとって打ちやすい地点ではなく、規則で決まる「最も近い地点」である点が大切です。カート道の右側と左側のどちらが打ちやすいかではなく、どちらが近いかで決まります。
ニヤレストポイントの探し方
1. 打つつもりのショットを決める
まず、その状態がなかったら元の箇所から打っていたであろうショットを想定し、使うクラブ、スタンス、スイング、プレーの線を決めます。規則では実際に構えて素振りする必要はないとされていますが、正確に推定するためにはそうすることが勧められています。
2. 障害が完全になくなる地点を探す
想定したクラブでスタンスをとったときに、足もスイングも球のライもその状態にかからなくなる地点を探します。たとえばカート道の場合、球がカート道から外れていても、足がカート道にかかっていれば「完全な救済」にはなりません。
3. ホールに近づかないか確認する
候補が複数あるときは、元の箇所に最も近い地点がニヤレストポイントです。その地点が元の箇所よりホールに近い場合は使えません。決まったら、ティーなどで印をつけておきます。
救済エリアは1クラブレングス
ニヤレストポイントが決まったら、そこを基点に1クラブレングス以内が救済エリアになります。クラブレングスは、そのラウンドで持っているクラブのうちパターを除いて最も長いクラブの長さです。救済エリアは次の条件を満たす必要があります。
- 基点よりホールに近づかない
- 基点と同じコースエリアの中にある(ジェネラルエリアの救済ならジェネラルエリア)
- その状態による障害が完全になくなる
球は救済エリアの中に膝の高さからドロップし、救済エリアの中に止まれば救済は完了です(規則14.3)。外に止まったら再ドロップし、2回目も外に止まった場合は、2回目に最初に地面に触れた箇所にプレースします。ドロップの手順はドロップの基礎知識も参考にしてください。
場面別の例
カート道(動かせない障害物)
球が舗装されたカート道の上にある、またはスタンスがカート道にかかる場合、カート道の左右どちら側で障害がなくなるかを確かめ、元の箇所に近いほうをニヤレストポイントにします。結果として林の中や傾斜地になることもありますが、それも規則上のニヤレストポイントです。救済を受けるかどうかはプレーヤーが選べるので、そのまま打つほうがよいと判断すれば救済を受けなくても構いません。
修理地
青杭や白線で示された修理地に球がある場合、修理地の外で、スタンスやスイングも修理地にかからなくなる最も近い地点がニヤレストポイントです。修理地の縁ぎりぎりではなく、足の位置まで修理地の外に出る地点を探すのがポイントです。
一時的な水
雨による水たまりは、スタンスをとる前か後に(足で過度に踏み込まずに)水が見えていれば、一時的な水として救済を受けられます。一方、地面がぬかるんでいる、立った瞬間だけ水が見える、というだけでは救済はありません。
パッティンググリーン上
グリーン上の球で異常なコース状態による障害がある場合は、ドロップではなく、ニヤレストポイントにプレースします。この場合のニヤレストポイントは、グリーン上かジェネラルエリアになければなりません。
救済後に別の障害が生じたとき
完全な救済のニヤレストポイントは、いま救済を受けている状態だけを対象に決めます。そのため、カート道から救済を受けた結果、ドロップした場所で今度は修理地がスタンスにかかる、ということも起こりえます。
この場合、規則の定義では、新しい状態について改めてニヤレストポイントを決め、もう一度救済を受けることができるとされています。救済は原則として状態ごとに別々に受けますが、別々に救済を受け続けても互いの障害が繰り返されると考えるのが合理的な場合は、両方の状態から一度に救済を受けることができます。
救済を受けるか迷ったときの確認
救済が認められるかどうか判断できないときは、規則16.4にもとづき、球の箇所をマークしてから拾い上げて確かめることができます(パッティンググリーン以外では球をふいてはいけません)。救済が認められない場合や、救済を受けないことにした場合は、球を元の箇所にリプレースします。理由なく球を拾い上げると1罰打になるので注意しましょう。
よくある間違い
- 打ちやすい側を選んでしまう:ニヤレストポイントは近さで決まります。遠い側の打ちやすい場所を基点にすると、誤所からのプレーとして2罰打になることがあります。
- スタンスの障害を忘れる:球だけを障害の外に出しても、足がかかっていれば完全な救済ではありません。
- ニヤレストポイントにそのまま置く:ジェネラルエリアではプレースではなくドロップです。
- ペナルティーエリアでも使えると思う:ペナルティーエリア内の球には、異常なコース状態からの救済はありません。
ペナルティーエリアの救済との違い
池などのペナルティーエリアからの救済は、ニヤレストポイントを使う救済ではありません。1罰打を加えて、次の方法から選びます(規則17.1d)。
| 救済方法 | 黄色の杭・線 | 赤色の杭・線 |
|---|---|---|
| ストロークと距離(直前に打った場所から打ち直す) | 可 | 可 |
| 後方線上の救済(ホールと、球が最後に縁を横切った地点を結ぶ線の後方) | 可 | 可 |
| ラテラル救済(縁を最後に横切った地点から2クラブレングス以内、ホールに近づかない) | 不可 | 可 |
このように、ペナルティーエリアでは「縁を最後に横切った地点」が基準になり、罰打もつきます。黄色の杭は黄色のペナルティーエリアを示すもので、「スタイミー」などとは関係ありません。無罰の救済で使うニヤレストポイントとは別のものとして覚えておきましょう。
ルールの説明は、日本ゴルフ協会(JGA)が発行するゴルフ規則(2023年版)にもとづいています。参考:R&A ゴルフ規則 日本語版「定義」(完全な救済のニヤレストポイント、クラブレングス、一時的な水)、規則13(目的外グリーン)、規則14(ドロップ)、規則16(異常なコース状態など)、規則17(ペナルティーエリア)
よくある質問
ニアレストポイントは打ちやすい側を選んでもよいですか?
選べません。完全な救済のニヤレストポイントは、元の球の箇所に最も近く、ホールに近づかず、障害が完全になくなる地点として規則で決まります。打ちやすさで選べるのは、その地点から1クラブレングス以内の救済エリアのどこにドロップするかです。
ペナルティーエリアでもニアレストポイントを使いますか?
使いません。ペナルティーエリアからの救済は1罰打で、ストロークと距離、後方線上の救済、赤のペナルティーエリアではラテラル救済(縁を最後に横切った地点から2クラブレングス以内)から選びます。
救済エリアの1クラブレングスはどう測りますか?
パターを除いて持っているクラブの中で最も長いクラブを使い、ニヤレストポイントから1本分の範囲を測ります。救済エリアは基点よりホールに近づかず、同じコースエリアの中でなければなりません。
ニアレストポイントが林の中になったらどうしますか?
規則上はその地点が基点になります。救済を受けるかどうかはプレーヤーが選べるので、元の場所から打つほうがよい場合は救済を受けずにそのままプレーできます。
