「ウエストエリア」は、英語の waste area をカタカナにしたゴルフ用語で、「ウェイストエリア」「ウェストエリア」とも書かれます。腰(waist)やコースの中央を指す言葉ではなく、整備されていない砂地や荒れ地の区域のことです。見た目はバンカーに似ていますが、ゴルフ規則上はバンカーではなく、扱いが大きく異なります。この記事では、ウエストエリアとは何か、規則上どう扱われるか、プレーするときの注意点を解説します。
ウエストエリア(ウェイストエリア)とは
ウエストエリアは、コースの中にある砂や砂利、むき出しの地面などが広がった自然に近い区域を指します。海沿いや砂地の土地に造られたコースでは、フェアウェイの脇やティーの前方に、こうした砂地がそのまま残されていることがあります。
海外では、アメリカのパインハースト No.2 が砂地を生かしたコースとして知られ、2024年の全米オープンでも、整備されたバンカーと整備されていない砂地の区別が話題になりました。日本のコースでは見かける機会は多くありませんが、海外のコースや砂地のコースでは目にすることがあります。
なお、「waste」は「荒れた土地」「手入れされていない土地」という意味です。英語の綴りが似ている waist(腰)と混同されて「中央」の意味で紹介されることがありますが、ゴルフ用語としてのウエストエリアにそうした意味はありません。
ゴルフ規則上の扱い:バンカーではなくジェネラルエリア
ゴルフ規則では、コースを5つのエリア(ティーイングエリア、ペナルティーエリア、バンカー、パッティンググリーン、ジェネラルエリア)に分けています。「ウエストエリア」という名前のエリアは規則にはありません。
規則の「バンカー」の定義は、バンカーとするために作られた砂のエリアです。そして、作られたエリアの縁の内側ではない砂の区域、たとえば「砂漠や他の自然の砂の区域、またはウェストエリアと言われることがある区域」はバンカーの一部ではないと明記されています。そのため、ウエストエリアは原則としてジェネラルエリアとして扱われます。
ただし、委員会は、作られていない砂の区域をバンカーとして定めることもできます。2010年の全米プロ選手権(ウィスリング・ストレイツ)では、コース内のすべての砂の区域をバンカーとして扱うという告知が出ており、砂地でクラブを地面につけた選手が罰を受けた例があります。見た目だけで判断せず、ローカルルールを確認することが大切です。
ウエストエリアでできること
ジェネラルエリアとして扱われるウエストエリアでは、フェアウェイやラフと同じ規則が適用されます。バンカーと比べると、次の点が異なります。
| 項目 | ウエストエリア(ジェネラルエリア) | バンカー |
|---|---|---|
| 球の直前・直後の砂にクラブをつける | 軽く地面につけるのは可 | 不可(規則12.2b) |
| 練習スイングで砂に触れる | 可 | 不可 |
| ルースインペディメント(石、葉など)を取り除く | 可 | 可(2019年の規則改正以降) |
| 異常なコース状態からの救済 | ジェネラルエリアの救済(1クラブレングス) | バンカー内での救済、または1罰打でバンカー外の後方線上 |
| アンプレヤブル | ジェネラルエリアの3つの選択肢(各1罰打) | 1罰打ならストロークと距離か、バンカー内へのドロップ。2罰打でバンカー外の後方線上も可 |
ルースインペディメントは、バンカーでもジェネラルエリアでも罰なしに取り除けます。「ウエストエリアでは石を取り除けるが、バンカーではできない」というのは、2019年より前の規則の考え方なので注意しましょう。
ウエストエリアで注意すること
ライを改善しない
クラブを地面につけられるといっても、許されるのは軽くつけることまでです。クラブを押し付けたり、砂や緩んだ土を取り除いたり押し固めたりしてライを良くすると、規則8.1の違反で2罰打(一般の罰)になります。砂はルースインペディメントではないので、球の周りの砂を払いのけることもできません。
ルースインペディメントを取るときは球を動かさない
石や小枝を取り除いたときに球が動いた場合は、球を元の箇所にリプレースし、原則として1罰打になります(規則15.1b、9.4b)。砂地では球が動きやすいので、球の近くの物を取るときは慎重に行いましょう。
バンカーとの境目を確認する
整備されたバンカーとウエストエリアが隣り合っている場合、どこまでがバンカーかが分かりにくいことがあります。熊手の跡がある、縁がはっきり作られている、近くにレーキが置かれている、といった点が目安になりますが、最終的にはコースや競技のローカルルール、委員会の告知にしたがいます。
ウエストエリアでの救済の例
ウエストエリアはジェネラルエリアなので、救済もジェネラルエリアと同じ方法で受けます。たとえば次のような場面です。
- 砂地の中を通るカート道や排水口のふた:動かせない障害物として、完全な救済のニヤレストポイントから1クラブレングス以内に罰なしでドロップできます。救済エリアはジェネラルエリアなので、ウエストエリアの砂地にドロップしても構いません。
- 雨でできた水たまり:一時的な水として、同じく罰なしの救済を受けられます。
- 灌木の根元などで打てないとき:1罰打でアンプレヤブルにし、ストロークと距離、後方線上、2クラブレングスのラテラル救済から選べます。バンカーと違い、ドロップする場所を砂の中に限る決まりはありません。
一方、地面にくい込んだ球の救済(規則16.3)は、フェアウェイの長さ以下に刈られていない区域の砂の中にくい込んだ場合は受けられません。ウエストエリアの砂に球がめり込んだときは、そのまま打つか、アンプレヤブルにするかを判断することになります。
ペナルティーエリアやバンカーと隣り合う場合
砂地がそのまま池や川の近くまで続いているコースでは、その一部がペナルティーエリアとして赤や黄の杭・線で示されていることがあります。杭や線の内側はペナルティーエリアで、ジェネラルエリアとは別の規則(規則17)が適用されます。砂地だからといって同じ扱いとは限らないので、杭や線の位置を確認してから打ちましょう。
ウエストエリアからの打ち方のポイント
ウエストエリアは、砂が締まっている所もあれば、柔らかく深い所もあり、ライが一定ではありません。次の点を意識すると、ミスを減らしやすくなります。
- ライを観察する:砂が硬く締まっていればフェアウェイに近い感覚で打てますが、柔らかい砂ではダフりやすくなります。
- 球を先にとらえる:フェアウェイバンカーと同じように、球をクリーンに打つ意識を持ちます。
- 無理をしない:小石や枝が混じっている場所では、クラブの損傷やけがにも注意し、安全に出すことを優先します。
ルールの説明は、日本ゴルフ協会(JGA)が発行するゴルフ規則(2023年版)にもとづいています。参考:R&A ゴルフ規則 日本語版「定義」(バンカー)、規則12(バンカー)、規則15(ルースインペディメント)、Rule 8(R&A、英語)、Australian Golf Digest:2024年全米オープン(パインハーストNo.2)のバンカーとウェイストエリア
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よくある質問
ウエストエリアではクラブを地面につけてもよいですか?
ウエストエリアは原則としてジェネラルエリアなので、球の直前や直後にクラブを軽くつけることができます。ただし、押し付けたり砂を払いのけたりしてライを良くすると2罰打になります。委員会がその区域をバンカーと定めている場合は、バンカーの規則が適用されます。
ウエストエリアとバンカーはどう見分けますか?
規則上のバンカーは、バンカーとするために作られた砂のエリアです。縁が作られている、熊手でならした跡がある、といった点が目安ですが、最終的にはローカルルールや委員会の告知で確認します。
ウエストエリアで石や枝を取り除けますか?
取り除けます。ルースインペディメントは、ジェネラルエリアでもバンカーでも罰なしに取り除くことができます。ただし、取り除くときに球が動いた場合は、球をリプレースし、原則として1罰打です。
