
軟鉄鍛造アイアンの魅力
軟鉄とは、炭素をほとんど含まない鉄の種類です。一般的には、炭素の割合が0.02%から0.04%程度の鉄を軟鉄と呼びます。ゴルフクラブの頭の部分に使われる素材として知られており、その名の通り、柔らかな性質を持っています。
この柔らかさのおかげで、伸び縮みがしやすく、複雑な形にも加工しやすいという利点があります。そのため、職人が一つ一つ丁寧に叩いて形を作ることで、細かい調整が可能になり、使う人の好みに合わせた、繊細なクラブ作りを実現できます。まるで職人が粘土をこねるように、軟鉄を自在に操り、理想の形状を追求できるのです。
また、軟鉄は衝撃を吸収する能力にも優れています。そのため、ボールを打った時の感触が柔らかく、手に伝わる振動も少ないため、心地よい打感を得られます。まるでボールを包み込むような感覚で、しっかりとらえた手応えを感じられます。この感覚は、他の素材ではなかなか味わえない、軟鉄独特のものです。
さらに、軟鉄は他の金属と比べて密度が高いという特徴もあります。密度が高いということは、同じ大きさでも重くできるため、クラブの重さのバランスを細かく調整できるということです。重心の位置や、クラブを振った時の回転のしやすさを調整することで、ボールの飛び方や飛距離を思い通りに操ることができます。
こうした特性から、腕の良い人やプロに好まれる素材となっています。近年では、技術の進歩により、軟鉄でありながら、強度を高めた素材も作られるようになってきました。そのため、より多くのゴルフをする人にとって、選択肢が広がっていると言えるでしょう。