住宅購入アドバイザー雑記:不動産仲介業者の存在意義(08.01.17)

昨日、読書の在庫が切れていたためと営業用ツールの仕入れのため、書店に行き、 なにげに新刊コーナーを右から左へと移動しながら眺めた。 最近の偽装問題について、住宅に関して取り上げていた書籍があったので、 斜め読みで立ち読みしたら、“不動産仲介業者は不要だ”とか “仲介手数料の3%は要らない”という項目があった。

筆者は一級建築士。 不動産仲介に関しての記述は、そもそもの不要論と手数料のそれぞれ1ページ前後で 両方合わせて2~3ページ程度のボリューム。 この程度の量と知識で不動産取引の白黒を論じるなんて。

もし、筆者が言うように、不動産仲介業をなくしてしまったら、 不動産流通の現場はどうなるのでしょうか。

売買でも賃貸でも、家を探したいというとき、どこで探すのか。 ネットでも雑誌でも不動産情報は多数掲載されていますが、情報源は全て不動産会社。 大家さんや売主さんが直接広告するのですか? この方々は基本的に一般人。 法律や取引の仕組みはあまり知らず、実際に募集や告知はできるのか、 出来たとしても消費者側が不利にはならないのか。 広告会社がアドバイスするというサービスを始めれば、 そのサービスこそ不動産仲介会社の業務と同じである。

何かしらの告知,募集手段があって、実際の不動産取引(賃貸でも売買でも)まで たどり着いたとして、では、取引はどうするのでしょうか。 家主さんは貸すということを何度もしているでしょうから、ある程度の知識はあるとして、 その場合、初めて借りる人よりも絶対的に強い立場になる。 借りる人は圧倒的に不利になりますね。 売買の場合、初めて売る人と初めて買う人という組み合わせも多くなる。 その際、高額な不動産取引を何も知らない人同士が、安全に円滑に取引が完了するのでしょうか。 不動産仲介業が不要というなら、これをサポートする人が存在するという案は矛盾する。 どうするのでしょうかね、筆者さん?

仲介業が必要であるが仲介手数料は不要という部分、 そもそも仲介業(広く不動産取引のサービス業)はどうやって成り立つのでしょうか? このあたりの記述、裏づけなく筆者は書いておりますが、 もし、仲介業不要、仲介手数料不要というなら、どうあるべきかまで書いて欲しかったものです。

不動産取引の仕組み、仲介手数料の算定などに、問題点があり 改善しなければならないというのは私も思うところがあります。 しかし、不動産取引の仕組みを知らない人、 仲介業を営んだり携わったりしたことがない人に論じて欲しくない。

まず、建築と不動産取引は、同じような業界かと思われますが、扱う内容がかぶるだけで、 全く違う業界であり、違う職種である。不動産仲介業って、思ったよりも奥が深いんですよ。 表面だけしか知らない人にとっては、浅く思えちゃうんでしょうね。 一度、この筆者に不動産仲介の業務(取引だけでなく仲介という取り組みそのものを全部)を やらせてみたいものです。

不動産会社の関係者が、仲介不要だとか仲介手数料は高いと論じるならまだしも、 不動産取引のことを知らない“建築士”が不動産仲介のことを語るなんて、 保険の専門家が証券会社について語るようなもの。 この筆者の経歴の事情を知っているわけではないが、 何も知らない専門外の人がさも知っているように語らないでもらいたい。

逆の立場になれば分かると思うが、不動産関係者が、建築士の仕事について論じたり、 設計監理料300万とか500万は高いと言ったら、何を持ってそう言うんだ、 お前は建築の設計管理をどこまで知っているんだと言うと思う。 (私は建築士さんの仕事と立場を尊重し、実際の営業の現場でも設計監理料に口を挟んだことはありません。実際にどう感じ考えているかは別としても)

建築士という肩書きで言えばなんでも正しくなる、 優先されるという意識や風潮(一般の方を含め)にはちょっと疑問があります。 一級建築士さんが、建築設計の第一人者で代わる立場がないということは事実です。 ただし、それは建築設計の分野でのことであり、 専門外のことまで自動的に第一人者になるわけではない。 ふだん、先生、先生といわれ、何でも言うとおりになるという業務から、 調子づいてしまったのでしょうかね。

どの分野でも極めた方は、基本、本質、根っこの部分で、どの分野にも通じるところあり、 それなりの才は発揮できるとのも事実です。 しかし、その分野をかじったということが前提であり、 外から見ただけでは間違った判断になることもあるというのも事実。

建築士さんがどうこうと言うつもりはありません。 各分野それぞれの専門家を尊重しましょうよということです。 なお、本書の建築に関する部分まで否定しているわけではありません。



住宅購入サポート

サブコンテンツ

このページの先頭へ