不動産ニュース考察:検査機関が機能しない背景(15.12.02)

横浜のマンション傾斜・杭工事データ改ざん事件も、いつの間にか報道されなくなってしまいました。

当事者の三井不動産が分譲するマンション、風評被害が恐れられた旭化成ホームズ、その他、過去に同様の事件を起こした住友不動産、三菱地所、大京など、どの会社も業績に影響はなく、逆に、売れ行き好調とのことと伝わってきております。

しかし、マンションや建築業界全体の闇は、解明もされず、改善もされないままになることで、姉歯事件の教訓が生かされなかった今回のように、今後も同じような事件は続いていくと思われます。

後楽園・東京ドームが所在する都心中心部の利便性を備え、緑も多く残り、文化的な施設も多く、日本最高峰の東大が所在することで、住宅地として23区の中でも評価が高い「文京区」。

その文京区にある新築の分譲マンションで違法建築が発覚しました。横浜の事件も、この文京区の事件も、前代未聞のものです。1年に2回も前代未聞の事件が発覚するのは矛盾しているようですが、それだけ、マンション(建築業界全体)施工の現場が乱れているということです。

文京区の建築違反マンションの事件概要は次の通りです。

ほぼ完成したマンション(地上8階・地下2階、総戸数107戸、全戸完売、来年2月に入居予定)に対し、周辺住民が街の景観に合わないことや安全基準を満たしてない恐れがあるとして、建築確認の取り消しを求めて審査を請求し、都建築審査会が避難設備の不備を理由に建築確認を取り消す裁決が下されました。

このマンションは違反建築であることが確定し、分譲会社は、契約解除を購入者へ通告しました。契約の約款は不明ですが、恐らく、約款通りなら手付解除(契約金額5%のペナルティ)、もしくは、状況を鑑みて違約解除(契約金額の20%が上限)とすれば、法的には責任を果たしたことになります。

購入者は、来年2月に入居が迫った中、いきなりの契約解除を迫られ、精神的にも、現実の生活、金銭的な実害など様々な被害にあい、極端に言えば人生設計を狂わされたため、鬼のようにお怒りになったものと想像されます。

この文京区の建築違反マンションでも、横浜のマンション傾斜事件でも、ご購入者やメディアは、元凶を分譲会社や施工会社として糾弾しております。ご購入者への責任は分譲会社が負うべきなのは間違いがありませんが、事件の背景、原因は違うところにあります。

文京区の事件の場合、分譲会社は建築違反の認識はなかったのではないかと思われます。資格者の1級建築士が設計し、その設計を検査機関がチェックし問題ないと合格しているなら、分譲会社としては建築に問題があることは分かりません。データを偽装されれば問題があることさえ把握できない横浜の事件と同じです。

姉歯事件、横浜のマンション傾斜事件、そして、今回の文京区の建築違反事件、すべて、1級建築士の犯罪(過失)です。そして、そのようなことを防ぐための検査機関が有効に機能しなかったことが、根幹にあります。

検査機関が有効に機能していれば、建築士が設計ミス(故意過失問わず)をしたとしても、未然に防ぐことができます。姉歯事件、横浜のマンション傾斜事件、文京区の建築違反事件、すべて防げます。

なぜ、検査機関が有効に機能しないのか。それは、建築会社、設計士が、検査機関のお客様だからです。仕事をもらう、お金を稼ぐためには、検査(建築確認申請)の依頼がなければなりません。ミスを指摘したら、次から仕事が来なくなります。ミスを見過ごさなければならない背景があるのです。東芝の不正会計事件で監査が機能しないことと同じかもしれません。

このような社会の仕組みを作り、運営、監督しているのは、行政であり、政治です。ここが変わらない限り、このような事件は続きます。



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