不動産ニュース考察:不動産取引と流通の行く末(09.05.01)

さくら事務所の“ホームインスペクション,セミナー”に参加した際、国土交通省の社会資本整備審議会(産業分科会,不動産部会)より、今後の不動産取引と流通のベースとなる「中間とりまとめ」が今月発表されたと聞き、探していた資料(中間とりまとめ)がようやく見つかりました。

この中間とりまとめのなかで、具体的な検討項目と不動産市場の状況と課題をピックアップし、ご紹介します。(詳細の内容は中間とりまとめをご参照ください)

◇社会資本整備審議会産業分科会不動産部会,中間とりまとめ

1)具体的な検討項目

1.購入者等に対するより適確な情報提供のあり方
2.「告知書」・「インスペクション」の活用
3.賃貸不動産の適正な維持管理のための方策

2)不動産市場をとりまく状況と課題

(住宅市場の課題)
○人口減少、少子高齢社会において、国富である住宅を資産として最大に利活用することは喫緊の課題である。
○また、省資源、環境保全の観点からも、住宅を長期にわたり使用し建替えを減らすことは、環境負荷の低減に大きく貢献するものであることから、既存住宅の価値を維持し、良質なストックを形成することが求められている。
○さらに、国民のライフスタイルの多様化に伴い、住まい方についても多様なニーズが生まれている。
○このため、流通市場の活性化を図り、国民がライフスタイルに応じた住生活を送ることができるような環境を整備することが求められている。

(既存住宅市場の課題)
○ストック重視の住宅政策を推進するに当たっては、既存住宅市場の活性化が必要であるが、我が国の既存住宅流通シェア(既存住宅と新築住宅を合わせた住宅流通量に占める既存住宅の割合)は、欧米諸国と比べて圧倒的に低い状況にある。
○既存住宅市場の活性化を阻害する要因の一つが、買主からみた物件の品質に対する不安にあることから、品質に関する透明性、信頼性を高める取組が必要である。

(不動産市場における情報提供)
○不動産取引は、物件の品質や周辺環境、過去の履歴、契約条件や契約の相手方の信用力など、様々な情報を基に行われるものである。
○インターネット利用の急速な普及により、消費者は従来に比べ多くの不動産市場に関する情報に接することが可能となってきたが、それでも取引の当事者間には、それらの情報に関して「情報の非対称性」が存在することから、情報の信頼性の確保、適時適確な情報提供とそれに基づく適切な判断が行える環境整備が求められている。
○さらに、昨今は消費者による安全安心な取引に対する意識が高まっており、こうした消費者意識の高まりに応え、安心安全な取引を行える環境が不動産市場に求められている。

(賃貸不動産管理の課題)
○賃貸住宅(民営借家)は住宅ストックの4分の1以上を占めており、多様な国民の居住ニーズに応えるものとして必要不可欠な存在である。国民が日々の生活を送る基盤として、また、良好なストックとして長期間にわたり活用される上でも、適切な維持管理が行われることが必要である。
○消費者の安心安全な取引への意識も高まる中、賃貸不動産に関するトラブルは増加傾向にある。また、近年、家賃債務保証業など賃貸不動産管理に関する新たな事業も展開され、これらに関するトラブルも発生している。
○現行では、賃貸業、賃貸不動産管理業などの業務については、これらの業務を行う事業者に関する情報が不足するとともに、事業者の不適切な行為を防止するような事業者間での共通のルールが確立されていないという課題がある。
○なお、不動産投資市場の拡大に伴い、投資対象とされる不動産の価値の維持・向上のために不動産を適切に維持管理する管理業務の重要性が高まっており、これら管理業務の専業化の動向にも注視すべきである。

引用元:社会資本整備審議会産業分科会不動産部会,中間とりまとめ

この“中間とりまとめ”から、今後どのようになっていくのかを想像する。

まず、これからの住宅環境の中心は、中古住宅と賃貸住宅になる。そのために、中古住宅流通市場と賃貸管理業の整備,制度作りが必要。中古住宅流通市場整備の核となるのが「告知書」「インスペクション」。重要事項説明の見直しを含め、一般の方を含む売主や不動産および関連業者からの情報提供の環境を整備することになる。

これから中古住宅市場が活性化するに伴い、一般の方を含む売主と不動産業者が、情報提供への理解と積極的な取り組みをするかによって、資産額,売却額に大きな影響を与えることになる。

自宅の価値を維持する,売却価格を高めるために、売却時点からでの取り組みでは間に合わない。明暗の分かれ道は、住宅購入時点まで遡る。購入時点から居住中、売却までの間、きちんと住宅を点検,整備し、不透明な要素をなくすこと。これが大きな明暗を分ける要素となる。

資産価値,売却額が大きければ、それを担保にお金を借りることも、売却することも可能であり、老後の生活も含め、臨機応変な対応が可能となる。

住宅ローンの検討でも、購入する住まいの検討でも、大局観を持って臨むことが大事である。

なお、この中間とりまとめは、今後、同部会で実務上の問題点等の残された課題についてさらに審議を重ね、年内を目処に最終的なとりまとめを行なう予定。



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