不動産ニュース考察:中古住宅市場の取引活性化支援策(07.08.26)

国土交通省が検討している中古住宅市場の取引活性化の支援策が、 日本経済新聞(平成19年8月26日)にて紹介されておりました。

内容は、建物ごとに設計図やその後の改修、点検の履歴などをまとめた “住宅履歴書”制度を作り、国が信頼できると認めた履歴書のある住宅には、 減税措置を適用して、中古住宅の質や状態を判断しやすくさせ、 その効果により、所有者の住宅に対する意識を向上させるのが狙い。 この結果、住宅の寿命が延びることになる。

≪記事概要≫

日本の中古住宅取引戸数は年間20万戸弱で、アメリカの680万戸に比べて格段に規模が小さい。 これは住宅の質や管理状況などの情報が少なく、値決めや売買などがしづらい、 結果、まだ使える住宅でも壊して新築住宅を建てることになっている。

住宅履歴書では新築時の設計図や点検記録などの情報を盛り込み、 その管理は住宅メーカーなどの民間事業者に委ねることを想定。 条件を満たした履歴書には国が認証を与え、認証を受けた履歴書を使う住宅には 固定資産税、登録免許税、不動産取得税を軽減する方針。

これを普及させることで、丁寧に維持管理している住宅ほど、 中古住宅で売買しやすくなり、住宅の所有者が売却時を想定して 計画的に点検や改修をすることで、住宅の寿命が延びることを期待している。

これと同時に、長寿命住宅のガイドライン作成も進める。 生活形態の変化に応じて間取りを変えられる構造にするなど、 数世代にわたって暮らせる住宅の指針を今年度中にまとめる。

引用元:日本経済新聞(平成19年8月26日)

基本的な方向性は良し。中古住宅市場の活性、住宅の寿命を延ばす、 住宅の歴史や状況を判断できる情報の整備など、この内容に異議はありません。

このことから予想されるのは、この履歴書制度に対応できる住宅メーカーは、 大手の中でも数社に限られ、対応できるメーカーとできないメーカーで差が開き、 淘汰まで進むかもしれない。

住宅建築のシェアは大手が小さく、大部分は中小の建築会社・工務店が占めており、 これら中小の会社がどこまでこれに取り組めるのか。履歴書の管理は、一部大手を除き、 第三者の管理会社が必要になるのでは。(ある意味新しい商売の機会、設計会社などか)

また、今も含め、この制度が出来る以前に施工・完成した住宅はどうするのか。 私が知る限り、一社を除いて大手でも、新築時や過去の点検・改修履歴などは残しておらず、 この制度施行前と後では評価が異なる。(一戸建てと比べマンションなら、 建物全体での履歴書も作りやすい。但し、戸別ごとは別)

住宅の長寿化による資産価値の向上とゴミを減らしての環境対策としては良いが、 ここ10年~20年の中古住宅流通市場は、制度前の住宅(履歴書なし)が大半を占めることとなり、 この部分に対しての中古住宅市場の整備も何かしらの対策をして欲しいものである。

この制度が始まってどうなるのか。(新築も中古も)高評価される大手ハウスメーカーの建物と それ以外(対応できないメーカーと中小)で二極化するのでは。 さらに、大半を対応できない会社が占めるため、この制度が普及するのかも不安であり、 普及するにもかなりの長時間が掛かるのではと思われる。

中小のハウスメーカー・工務店に対してどうするのか。 制度以前に建築された建物に対してどうするのか。この二点を置き去りにしてはダメ。 賢い役人や建築・設計業界の方が、何かしらの対策を出し、杞憂に終わることを願う。

そして、中古住宅市場の活性化にとって、一番のネックになるのは、新しい物好き、 些細なことを気にし過ぎる日本人の気質・意識であり、この部分が変わらなければ、 中古住宅市場の活性化も資産の正当評価もならないのでは。履歴書を作り安心感を生む、 減税措置などで関心を向けるなども、根底には、この気質・意識改革にある。



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