不動産市場と動向:低金利だけど不動産価格は伸びない訳(14.07.13)

去年の7月には0.8%台だった長期金利が、今年1月に0.7%を下回り、6月からは0.5%台で推移している。景気が悪かったと言われる5~10年前でも1.5%前後(これでも低金利だが)だったのだから異常である。

一時期、アベノミクスで、景気回復・インフレ予想されたが、期待までに留まり実態としては望めないと市場が判断した結果かもしれない。

金利が下がると不動産価格は上昇するのが常である。

一般住宅であれば、住宅ローンの金利が低くなることにより返済負担も減少し、その分、借り入れ金額を増やすことができるためである。

借り入れ金額が増えれば、自然と購入予算も増加する。

投資物件であれば、株は不動産と同じグループとして、別グループの預貯金や債権の金利が低いことと比較し、不動産や株の相対利回りが良くなり、多少利回りが低くても購入される。

利回りが低くても売れるということは不動産価格は上昇する。

投資物件に関しては、原則通りの動きを示しているようである。以前なら、最低でも表面利回り10%が基本ラインだったが、現在は、表面利回り10%を超える物件をほとんど見かけない。

見かけないということは、表面利回りが10%を超える物件は瞬間蒸発のように売れているか、価格を上げて利回りを下げても売れるということである。

これに比べ、一般住宅物件は原則通りの動きを示していないようである。特に郊外では顕著である。

都心などの好立地なエリアは投資の要素も加わるのか、またはこれからのトレンドであるため、原則通りの動きとなっているようである。

郊外では、金利が低く返済負担を軽減できても、それを借り入れ金額の増加へとつなげるものではなく、そのままの金額で返済負担軽減のメリットを享受する。

例えば、毎月の返済負担を10万円以内で購入しようと計画していた場合、3,000万円(毎月99,378円、金利2%・35年返済)の借り入れ予定となる。

金利が1%になれば3,500万円(毎月98.799円、金利1%・35年返済)まで予算を伸ばせるがこれをせず、借り入れ金額3,000万円を変えずに毎月返済84,685円と軽減できる方を選択する。

金利が低いから予算を伸ばそうとするより返済額を抑えるという選択をすること、この考えは購入者としては正しい。

ただ、以前なら、500万円の予算増加による土地や建物のクオリティアップ(駅に近づく、広くなる、設備が豪華になる、高層を選べる、など)を選択する方も多かった。

目の前に良いものを見せられたら、それによる満足度や快適性向上への欲望は抑えられなかったものである。

しかし、現在の購入者層は堅実で、その欲望を抑え、確実に金銭的なメリット・リスク軽減を選べる。悟りの境地に至っているのではとさえ思える。

消費を嫌悪する(無駄遣いはしない)、恋愛も旅もしない、さとり世代という言葉が流行語になったが、それよりも根底には、消費税増税などの負担増加と景気低迷による閉塞感、将来不安などがあるのではないか。

低燃費の車種が販売上位に並ぶクルマの世界が、その象徴であり、さらに、高級外車が売れていることは都心の不動産は売れているという側面も似ているかもしれない。

また、世界遺産に認定されれば押し寄せるなど、日本全国著名な観光地は高齢の旅行者で混んでいる様相は、高齢化時代の象徴であり、不動産市場としては所有者・売り手が多い需給関係になったことが窺える。

短期的には表面的なアベノミクスと消費税増税の反動とも思われるが、潜在的に、買い手が圧倒的に多い高度成長期の揺れ戻しが起きているのではないか。

ある大手建材会社では、金利負担を工務店持ちでリフォームを提案するようである。

そこまでしてもリフォーム工事を獲得したいというのは、現役世代の新築需要に見切りをつけ、高齢者需要にシフトせざる負えない住宅市場になったということである。



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