不動産市場と動向:日本人と不動産(11.02.27)

「日本人と不動産、なぜ土地に執着するのか(吉村慎治著、平凡社新書)」を読みました。著者は東大卒業後、三井不動産にてさまざまな不動産業務をてがけ、現在は、東大で特任専門員として不動産経営に携わる。

本書は、日本の歴史的な背景から、現在の不動産がおかれている状況を分析し、住宅から都市開発まで不動産の問題点を整理しております。国の財政、都市開発、土地のルーツ、不動産格差、グローバル時代の不動産、など。

戦後日本では、高度経済成長期に終身雇用が制度として定着し、一戸建ての持ち家を目指すのが「普通の人生」のように思われてきました。土地は絶対に値上がりし、持っているだけで得をする有利な資産だったのです。

しかし、1990年代のバブル経済の崩壊により、右肩上がりだった給料が下がりはじめ、住宅ローンの返済に窮するケースが多発しました。同時に、住宅価格が値下がりを続け、住宅を売ってもローンの返済が終わらず、買い替えもできなくなった人が数多く出たのです。・・・

しかし一方で「市場経済」とはいえ、本当に土地を「商品」にしてしまってよいのかという疑問も残ります。人の「住まい」である住宅を、もっぱら「商品」として扱うことに何か重大な問題はないのでしょうか。

また働く意欲があっても仕事がなく、住むところすらないということが、日本や欧米などの先進国においても多く見受けられます。格差の固定化が進む社会のなかで、一部の製造業などで問題になった派遣労働のように、「人を物として扱う」ことに疑問はないのでしょうか。

今、改めて問い直されているのだと思います。

引用元:日本人と不動産、本文まえがき、より。

特に、住宅に関しての部分を取り上げますと、持ち家と借家の損得論議は意味がない、今後将来、何十年先の状況は誰も読めないなか、どのような設定をするかにより、数字の操作でどちらにでも結論は出せる。

低所得者層への住宅、借家に対しての住宅政策と、住宅市場のストック重視への転換が必要と提言しております。また、一貫して、街づくりの未熟さ、土地を含めた社会公共性の意識不足に対して苦言を呈しております。

わかりやすくまとめられておりますので、不動産がおかれている状況を確認されたいかたは、本書を手にとってみてはいかがでしょうか。



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