住宅ローン基礎知識:変動金利って危ない?(08.12.13)

全期間固定金利のフラット35登場以来、悪しき住宅ローンの 代名詞のように言われている“変動金利型住宅ローン”。 フラット35の親元である住宅金融支援機構の住宅ローンガイドにも、 変動金利がいかに危ないかが切々と説明されているが、 国の出先機関である機構が言うのだから間違いない!と 単純に信じてしまうことがいかに危険かは、 ゆとりローンの問題や年金問題(飛躍しすぎ?)で実証済み。

変動金利が危ないかどうか、まず、変動金利型住宅ローンが どのようなものなのか分からなければ始まらない。 ※説明内容は一般的なもので、各金融機関により取り扱いは異なる。

現在の住宅ローンを大別すると、変動金利型、全期間固定型、一定期間固定型の3つ。 一定期間固定型は、変動金利型に一定期間金利を変動させないという特約をつけたもの。 一定期間終了後は変動金利型に移行するが、再度、 一定期間の金利を固定する特約を結ぶこともできる。

変動金利型の金利は、各金融機関ごとに決定する基準金利に連動する。 基準金利は短期プライムレートに連動し、さらに、日銀の政策金利に連動する。

このことから、日銀が利上げしたり、利下げしたりすることにより、 変動金利型の住宅ローン金利は変動する。 基準金利の見直しは、年二回行なわれ、4月と10月を見直し時期としている。

変動金利型の住宅ローンには、ふたつの特徴がある。

1.返済額は5年間変更されない。(最初の5年間は要確認)
2.返済額の変更は、変更前の返済額の1.25倍まで。

半年ごとの金利見直しで、金利上昇リスク≒返済負担の増加≒家計の圧迫という リスクがあることが固定金利型との大きな違い。

現在の低金利下なら金利上昇しかないと言え、変動金利の低金利による返済額を前提に、 購入・借り入れをすると、金利上昇時に大変なことになってしまうよ、 というものが、変動金利を危ないという根本になっている。

金利を半年見直す、にも関わらず、返済額は5年間変わらない。 明らかにこの文章は矛盾している。 矛盾という言葉には危険が含まれているのは、 タダほど高いものはないという格言でも分かる。

この矛盾はどのようなものなのか。

例えば、1,000万円を変動金利型2.375%で借りたとしよう。 毎月の返済額は38,865円。このうち元金は19,746円、利息は19,119円。 1年後に1%金利が上昇すると、返済額は変わらないが、 内訳は、元金11,570円、利息27,295円と変わる。

金利見直し後に変わったのは、元金と利息の返済内訳。 当初1年間は元金分として毎月19,746円支払い続ければ、 借入期間終了時に返済が終わるという計算であったが、 2年目に元金分の支払いが減少し、 元金返済分の差額である毎月8,176円が未払い状態になる。

この未払い分だけ元金の残高は減らない。 5年毎の返済額見直し時は、見直し時の残高から新しい返済額を計算するが、 ここでもうひとつの特徴である、新しい返済額は 見直し前の返済額の1.25倍までという規定が入る。

金利の上昇による未払い分を加えても、1.25倍の返済額で納まれば、 返済額が上昇するだけに留まるが、もし、未払い分が多くて、 1.25倍の返済額では利息にしかならないとなれば、今後、 いくら返済を続けても元金が減らないという事態になる。(未払い利息)

借入期間を延ばすことはできない。 もし、このような状態のまま、借入の最終期日を迎えると、 元金や利息の未払い分を一括返済するように請求される。

なお、リスク面から説明したので上記のようになったが、 金利が下がった場合、元金の返済分が増加することになる。 これは繰上返済をしたのと同じ効果。 また、5年間返済額が変わらない、返済額の見直し額は1.25倍までというのも、 使い方次第ではメリットとも言える。

さらに、住宅ローンの適用金利は、申し込み時ではなく、 融資が実行された時で判断されるという原則がある。 固定期間型(一定期間固定型含む)は毎月ごとに適用金利を見直しているが、 変動金利型は半年に1回の見直し。 分譲マンションなどでは、申し込み時から実行時までの間に半年を過ぎ、 金利を見直しされることもあるが、土地や一戸建ての場合、 時期によっては、金利見直しのタイミングが訪れず、 申し込み時と融資実行時の金利の違いで計画が狂うことがない。

また、変動金利でスタートし、利息負担の軽減を図りながら、 金利が上昇しそうだというタイミングで一定期間固定型に 切り替えて安定を図るということも可能。(全期間固定タイプへの切り替えは不可)

変動金利型が危険と言われる根拠は、金利上昇リスクと未払い金リスクにある。 ただし、リスクとリターンは裏表の関係である。 リスクを背負う分、適用金利が低い(利息負担が少ない)というメリットもある。

・変動金利型は危険である。
・変動金利型には危険性がある。

似たような、同じような言葉であるが、この言葉の違いに、 住宅ローンを借りる危険性が秘められているのではないか。

野球の世界に「暴走と好走は紙一重」という言葉がある。 何も考えずに盗塁を試みることは暴走。 様々な条件・状況を理解し、進むか進まざるかを判断することが好走。

住宅ローンの仕組みや商品内容、自分たちの状況やこれからの返済計画、 社会環境の変遷や行く末(これは難しい)を、きちんと理解して判断すること。 これが大事なのであり、これを行なわないことが危険なのである。

変動金利は危険極まりない、全期間固定に限る、などと、 どこかで聞いた言葉を鵜呑みにして、固執し、断定的に判断する方が、あまりにも多い。

このあまりの多さから、危険性が高いものを危険だと断定的に伝えた方が、 分かりやすくて、住宅ローン破綻から救うことに有効だと、 アドバイスをする方は動いてしまうのかもしれない。

住宅ローンの変動金利型を取り上げたが、 住まい探し、住まい選び、不動産の購入でも同じことが言える。



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