不動産基礎知識:契約交渉の不当破棄(民法改正中間試案)(13.02.27)

不動産業に身を置く者に必須となる資格が宅地建物取引主任者。宅地建物取引業法(以下、業法)では、この資格を有している者が5人に1人以上の割り合いでいればいいとなっているが、営業に携わる者は全員取得しておくべきものである。

この資格試験で、中心となっているのが業法と民法である。不動産業界であるのだから、業法に精通し、業務を滞りなく行えるのは当然であるが、その前に、一般的な社会経済活動の基本法である民法をしらなければ、商取引も行えない。

民法では、財産関係と家族関係を中心に、権利、義務、契約などを規律する。社会生活、一般的な商取引をするうえで、基本中の基本となる法律である。この民法が、大改正されようと動き出している。

法制審議会の民法部会が取りまとめた中間試案の一部を抜粋してご紹介します。

・契約の約款における無効条項

細かい字で膨大な量の取り決めが書かれている約款。ネット上などで、約款を読み同意するというボタンがあるが、私はまず読んだことがない。現実的に読む人がほとんどない現状から、消費者保護の規定が盛り込まれた。

内容は、消費者が「まさかこんな条項は含まれてはいないだろう」と通常考える「不意打ち条項」、消費者にとって「不当な条項」は無効とする、というもの。

・連帯保証人の一部廃止

金融機関から融資を受ける場合、代表者が個人として連帯保証人に入ることは多い。これは、会社と個人の境目があいまいで、財産隠し、信用補完などを目的としている。この代表保証は継続される見通し。

改正後に廃止となるのか、代表者以外への連帯保証人を認めなくする点。会社、代表者に信用が不足する場合、親族や友人を連帯保証人として融資を受けるケースがある。会社が倒産した場合、親族や友人まで巻き込まれ、最悪の場合、自殺などの悲劇が生まれる。

広義には、人権問題までに発展するため、改正を検討している。一部の保証制度(包括根保証など)は改正済み。

今まで、金融機関は、融資をする際、担保の要素を強く見ていた。物の担保は不動産や債権になり、人の担保が連帯保証人である。今後は、物の担保に対するウエートが高まることになる。

さらに、企業そのものの安定性、将来性など見抜く金融機関の審査力、考え方を改められば、さらに望ましい。住宅ローンでも、ノンリコースローン制度が普及すれば、人の経済的な再生もしやすくなるが、金融機関側の審査力が至っていないため難しい。

・契約交渉の不当破棄

通常、契約を締結するまでには、契約の申し出から交渉を経て合意するという過程がある。この交渉合意後、正当な理由もなく契約を一方的に妨げた場合、損害賠償の責任を負う、という但し書き規定が盛り込まれた。

不動産の現場まで適用されるのか、正当な理由とはどこまでか、など、民法が改正され、運用が始まり、裁判での争いがあって判決が出て、慣例となるまでには、10年単位の月日が経つと思われる。

この試案を素直に解釈し、慣例となれば、購入の申し込みをし、契約条件が合意された後、キャンセルしたら損害賠償が発生しますよ、となる。損害賠償だから、契約後の見込み利益補てんではなく、契約に際しての実害のみに留まると思われる。

行為能力者が判断したことは守りなさいよ、好き勝手にしたら、社会道徳的な秩序が乱れる、正直者がバカを見るので、防ぎますよ、ということか。常識的、道徳的なことが定められる民法だから当然と言えば当然。

以前に、私が体験したことで、見習うようにしているのが、「大の大人を動かしたんだから、それなりの支払いはさせていただきます」。こういう人が増えればいいのですが、ちゃっかり者が増えた現代だから仕方ないのでしょうね。

この他にも面白いと思うことが多々書いてあるのが民法です。興味があったら、現行の民法、改正案をご覧になってみてください。



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