不動産基礎知識:仲介業者を排除して契約(抜き行為)(09.09.11)

不動産仲介業者へ不動産の売却や購入の依頼(媒介契約)をし、その業者の活動により不動産売買契約を締結できるようになったにも関わらず、不動産仲介業者を排除して売買契約を締結した場合、不動産仲介業者に報酬もしくは違約金の支払い義務が生じます。

このように媒介契約締結後、依頼した仲介業者を排斥して取引することを業界では“抜き”と呼び、業者は「抜かれた(被害)」「抜く(加害)」などと言います。

抜き行為の一般的なものは、すでに媒介契約の締結を済ましている消費者に対して、後発の業者が消費者を誘引して行われ、多くは業者がリードしてきました。しかし、ここ近年は、消費者の方から積極的に抜き行為を行うことが増えてきております。

消費者が、このような行為に及ぶ背景は二つあり、一つは依頼している仲介業者へ不信感や信頼関係の喪失によるもので、もう一つは業者に支払う仲介手数料の低減を狙ったものです。

不信感や信頼関係喪失の場合に他社へ流れる場合は、仲介業者側にも何かしらの落ち度があるのかもしれません。しかし、仲介の依頼(媒介契約)を締結した際に取り決められたことが無効になるわけではなく、契約に寄与した分の報酬もしくは違約金を請求されることになります。

※明らかな不信行為などがあれば一方的な解約が認められることもあります。

対処としては、売却や購入を依頼する仲介業者を気軽に決めるのではなく、信頼できる会社や担当者をしっかり見極めてから依頼すること。依頼した後、契約締結までの間に何かしらの事情ができた場合は、契約締結前にしっかり話して合意解約のうえ、契約に臨むことです。

ただし、契約締結前に仲介業者は媒介契約の合意解約にすんなり応じることは少なく、かなり厳しい状況に追い込まれます。やはり、依頼する前に見極めることしかありません。売買契約締結に至った際の報酬も依頼する時点で確認しておきます。

報酬を約束して業務を依頼し、業務遂行後に報酬の支払いから逃れることは、無銭飲食のようなもので、明らかに信義則に反する行為となります。報酬から逃れたい心理は誰しも同じで、これ自体が悪いのではなく、約束した後に逃れることがいけないのです。

売却を依頼するケースでは、数多くの仲介業者に依頼することは少ないですが、購入を依頼するケースでは、ネットやチラシを見て、片っ端から連絡を取っている方も多く見受けられます。

業界側の立場から見ると、大丈夫かなとヒヤヒヤしますが、このようなことを知らない消費者にとっては、何を言っているのという感じなのでしょうね。

一般的な感覚では、物件の資料請求や問い合わせぐらいでは依頼したことにならないと思われると思います。それが、普通の感覚だとは思いますが、以前は、荒い仲介業者や担当者によっては、依頼されたと判断して(言い張って)報酬の請求などをしてくる場合もありました。

最近は以前のような荒い業者は減少し、物件の資料請求だけ報酬を請求してくるのは稀で、まず問題ないと思われます。実際に問題になるのは、物件の見学くらいからで、購入に向けて打ち合わせが進み、購入申込書の提出前後まで至ってしまうと難しくなります。

このような不動産取引の依頼をする際、媒介契約の内容を記載した書面を交付しなければならないと定められております。(宅建業法34条)しかし、書面の不交付だけで媒介契約そのものが無効になるものではなく、業務上の問題は残るものの、契約そのものは締結されたと判断されます。(行政からの処罰と媒介契約の有効性とは別)

後発の不動産仲介業者も、先行して不動産売買契約の締結に貢献した仲介業者があることを知りながら排斥(抜き)した場合、排斥された(抜かれた)仲介業者より、不法行為として損害賠償の請求が認められることもあります。

消費者庁が発足し、宅建業法を始め各法律で消費者を保護しておりますが、これは立場の強弱や知識の有無などの格差などから弱い者を守るという弱者救済に基づいております。しかし、信義則に反したり、不法的な行為に対してまでは、消費者ということだけで守ってくれません。

故意に行うなら論外ですが、実際のところ、分からず知らずにというの現実でしょう。とにもかくにも、依頼する前に信頼できるかどうかの見極めと報酬などの確認を行うことが大事です。スタートしてからでは遅いですよ。



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