不動産基礎知識:通行権(08.09.04)

道路に接していない土地(袋地)を利用するには、道路から入り道路へ出るために、 どこかしらの土地を通る必要があります。 民法では、その袋地を囲っている土地の上を所有者の承諾なく通行することを認めています。

第210条 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、 その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
他の土地を通行する際は、通行させてもらうという状況であるので、 通行する土地で一番差し障りのないような通行になり、通行料を払わなければなりません。

第211条 前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために 必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。 2 前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。

第212条 第210条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して 償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、 1年ごとにその償金を支払うことができる。
ただし、土地の一部(道路に接しない奥)を売却し、新しく袋地を作ってしまった場合、 その袋地の人が通れるのは、もともと一体となっていた土地だけになります。通行料は不要。

第213条 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、 公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。 この場合においては、償金を支払うことを要しない。
ここでいう通行とは、利用者が歩いて通行することが前提であり、 車の通行を利用者の権利としては認めていません。(所有者が認めてくれれば別)

通行権そのものは上記のように民法で守られていますが、 これをより強固にする手段として地役権を設定することができます。 地役権とは、自分の土地のために他人の土地を利用する権利で、登記により示すことができます。

この通行権は、最低限の生活のためを前提としており、 生活施設(電気、水道、ガス、下水など)のための利用は認められるケースもあるが、 建物を新築する際に必要な建築基準法の接道義務を果たすためにまでの権利は認められません。

このことから、よほどの特殊事情がない限り、袋地を購入する人はいないと思われ、 不動産の評価としてもかなり低くなります。(住宅ローンも受けられない)

通行権が認められている対象地も、自分の敷地内を他人が通行し、 生活施設の配管までされると、プライバシーの確保、敷地の利用、 不動産の評価にマイナスが生じます。

これらのことから、どちら側の土地でも不動産取引は難しいものになり、 現実的には袋地と通行対象地を一つの土地としてまとめていくしかありません。

しかし、現実的には、どちらかに片方を引き取る資力がなければならず、 袋地所有者も二束三文になるなら意地になって売らないと頑張る方もいて、 なかなか整理も進みません。

もともとはこのような土地を作り出してしまったことに問題があるのですが、 過去を振り返っても仕方ない。 このような土地に出会ってしまったら、慎重にご検討下さい。 なお、土地や所有者に罪があるわけではないので、 批判的なことは言わずに、黙って立ち去るのみです。



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