不動産基礎知識:売買契約書の記載内容(08.08.24)

契約は、当事者間の申込みと承諾という二つの意思表示の 合致によって成立するのが民法での原則である。 例えば、売り手が買い手に対して「これを売ります」と言うのに対して 買い手が「それを買います」と言えば両者の間で売買契約が成立する。

しかし、その場であっさり完結する取引ならばいざ知らず、 契約締結から履行まで時間も掛かり、かつ、高額な取引になること、 当事者にとって稀な取引で不慣れなこと、などから契約書を作成することが一般的である。

なお、口頭では言った言ってないという水掛け論になるため、 トラブル防止の目的で契約書を作成するのであり、 契約書を作成しないことが契約そのものがないということにはならない。

ただし、宅地建物取引業者(不動産会社)は、契約が締結された際、 書面(≒売買契約書)を交付しなければならず、 かつ、宅地建物取引主任者が記名押印をしなければならないと定められている。 (宅地建物取引業法第37条)

※契約の有効性に書面の有無は問われないが、書面なく不動産の契約をした場合で 宅地建物取引業者が関与する場合、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法違反として 処罰される。

同法同条には、同書面に記載すべき最低限の内容も定めており、 ここで定められている事項が、売買契約書の基本的な事項になっている。

≪宅地建物取引業法第37条≫ 1.当事者の氏名(法人にあつては、その名称)及び住所
2.当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示
3.代金又は交換差金の額並びにその支払の時期及び方法
4.宅地又は建物の引渡しの時期
5.移転登記の申請の時期
6.代金及び交換差金以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的
7.契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
8.損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容
9.代金又は交換差金についての金銭の貸借のあつせんに関する定めがある場合においては、当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
10.天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容
11.当該宅地若しくは建物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、その内容
12.当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容
1.の当事者については、契約による権利と義務が誰に及ぶかを特定しないとならない。 例えば、他人が所有する不動産を売主となって契約を締結することができ、 所有者=売主とはならないこともある。

2.の不動産特定は当然のこととして、対象になる不動産を特定しなければ 契約そのものが成立しない。 また、特定する方法も記載します。 例えば、地積について、公簿売買なのか実測売買なのかなど。

3.売買契約が成立すると買主は代金の支払い義務が生じる。 この代金に関して、金額の記載は当然のこと、支払いをする時期や その手段について記載しなければならない。 記載しないといつまでも支払いを行わないということになってしまう。

4及び5.上記と同様に、売買契約が成立すると売主は不動産の引渡しの義務が生じる。 この時期や方法について記載がないと上記と同じく引渡が いつまでも受けられないというようなことになってしまう。

3と4と5.は双方に不公平がないよう、不動産の引渡しと所有権の移転手続きと 代金の支払いは同時期にするケースが多い。 例外に双方の事情で引渡しや代金の支払い猶予をする場合もある。 法律の定めはなく、どのようにしても当事者が合意すればよい。

6.の代金以外の金銭の授受に関しては、主に手付金の受け渡しに関してになる。 固定資産税等のことに関しては12.として別記。 手付金は代金の一部になることも併せて記載されていることを確認。

7から11.では、主に解除に関して、どのような取り扱いになるか記載される。 手付解除、違約解除、ローン特約による解除、危険負担、瑕疵担保など。 また、違約解除に関して違約金の定めを8.にて記載する。

上記が宅地建物取引業法で定められた事項であるが、 この他にトラブル防止のため記載する内容として、 契約費用や印紙税の負担についてやトラブルになった際の管轄裁判所などが記載される。

ここまでがどの取引でも記載される主な内容だが、個々の取引において、 特別な定めや約束をする内容について、特約として記載される。

契約書面で大事なことは、記載されていないことを、 後から主張することはできないことから、 約束したことに関して、きっちり記載すること。 しかも、曖昧な表現ではなく、誰が読んでも明確に分かるようにすることです。

先日、同業での勉強会で、売買契約に関しての項目がございました。 半端な知識やほとんど本質を理解していない営業担当が非常に多いことに驚き、 これならトラブルも多いな、と変な納得をしてしまいました。



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