住宅購入の見識:老後のために自宅取得するなら(13.10.18)

ホームインスペクションを世に広めている第一人者の不動産コンサルタント・長嶋修氏(さくら事務所会長)が、日本経済新聞にコラムを寄稿している。

前回のコラム(10/12)では、住宅における永遠の命題である「賃貸が得か、持ち家が得か」に切り込んでいた。

長嶋氏は、賃料と住宅購入費の取得費用の比較に終始する取り上げ方に、住宅所有に伴う維持費用も考慮すべきと警笛を鳴らしている。

維持費用で代表的なものは、マンションの修繕積立金と管理費である。修繕積立金は建物の共用部分に充てられ、室内の維持改装費用は各自の負担となる。

一戸建ての場合、修繕積立金という強制的なものがない代わり、自身で管理しなければならない。継続的計画的に改装費用を積み立ておければいいが、そのように実行できている家庭は稀で、その都度、貯蓄を切り崩して行う。

維持費用は、建物の構造などにより異なるが、長嶋氏は建物価格の1%を毎年積み立てることを推奨している。※建築時、購入時に、建築会社等へどのようにメンテナンスが必要になるか確認しておくことがお勧め。

さらに、一戸建て、マンションに共通している必要になるのが、固定資産税等の負担。

地価や築年数、広さに連動するため、一概には言えないが、千葉県柏市周辺の平均的な一戸建てで年12~15万円、マンションでは年15~18万円程度だろうか。(新築時の軽減考慮せず)

仮に4,000万円の住宅を、35年返済・2%の金利でフルローン(諸費用は自己資金)で購入すると、35年間の返済総額は約5,560万円となり、年10万円平均の固定資産税等と建物維持管理費用35年分を加えると、総額6,600万円となる。

4,000万円の住宅購入と同じ負担(返済)と仮定すれば、維持費用の分だけ、子育て期間中の現役時代(ローン返済中)の金銭的な負担は賃貸のほうが少なくなる。※更新料、住み替え費用を加算すると差は縮まる。

取得した持ち家が生涯暮らせる建物であれば、35年返済終了後、7~10年程度で維持費用分を賃料支払いが逆転し、金額が並んだ時点で、持ち家派には不動産が残り、賃貸派には不動産の所有がない、という資産的な部分で差が出ることになる。

しかし、35年で建て替えとなってしまえば、持ち家が有利になるタイミングは見えてこない。持ち家有利になることもあるだろうが、楽観的な設定条件が必要となる。

持ち家の場合、資産価値(売却価格)の変動、金利の変動にも影響されるため、このような机上の計算にどこまで意味があるかさえ不明だが、金銭的な損得を考える場合、維持費用が少ない建物、長期使用ができる耐久性がある建物であることが必要。

自宅所有は、老後の生活防衛という意味合いもあるが、維持費用が少ない、建て替えする必要がない、という条件がなければ、苦しくなるばかりである。

老後のために自宅を取得しておこう、ということであれば、建物の選定がいかに大事であるかが、この結果では分かる。

賃貸でも、持ち家でも、先が長い年月のことであり、どちらにもリスクがある。そのリスクをしっかり考えて対応策を考えておくことが大切なこととなる。

顕在して見えているリスクは、コントロールし、マネージメントできる。本当のリスクは、見えていない、見落としている潜在的なことである。



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