住宅購入の見識:埋立地(08.10.05)

長男が社会の勉強をしていたので教科書を覗いてみたら、 海沿いに拡がる工業地域が取り上げられていました。 貿易立国である日本は、原料の輸入、工業製品の輸出に便利な 海沿いに工業地域が拡がり、埋立地≒工業地域というイメージであったが、 近年、埋立地に高層マンションや住宅地も増えてきました。

この埋立地、交通利便性が良いこともあって、地価が高い地域が多いのですが、 そもそも、住宅地として埋立地は適しているのでしょうか。 埋立地で一番気になるのは、人工的に作られた地盤が信頼できるものかどうかです。

(住宅地用の)埋立地は、土砂などを 大量に積み上げることによって人工的に造成されます。 この人工地盤は、長時間かけて形成された天然の陸地に比べると、 土壌粒子の間隙が大きく保有水が多いため、 地震による液状化現象が起きやすいとされています。

液状化現象とは、地震の際に地下水位の高い砂地盤が、振動により液体状になる現象。 これにより比重の大きい構造物が埋もれたり、倒れたり、傾いたり、 地中の比重の軽い構造物(下水管等)が浮き上がったりする。

阪神・淡路大震災では、六甲山の土で埋め立てられた 六甲アイランドや神戸ポートアイランドなどで、 この液状化現象が起こり、 道路から噴砂(地中の土砂が地下水と共に地表に吹き出したもの)が見られ、 噴出した泥水状の土砂が全域で道路を埋め尽くし泥沼と化しました。

なお、水分を多く含む地層は揺れやすいと言われ、液状化現象も起こりやすく、 近年の人工的な地盤以外に、川や海の堆積土で自然に作られた 平野部でも液状化現象のリスクはあります。

地震以外での災害では、海面が近いことによる水害のリスクがあります。 しかし、近年人工的に作られた埋立地では海面からの高さを確保することで、 水害に対しては一応の対策は採られており、大きな被害は出ていません。 瞬間的、局地的な気候の変動よりも、地球温暖化による海水面の上昇が 気になるところでしょうか。

また、海が近いことは潮風による塩害を考えなければなりません。 海から1km離れれば大丈夫という説もありますが、 夏の南風が塩分を含んだ空気を数km先まで飛ばすことも考えれば、 建物を含め鉄部に対して塩害対策を講じなければならず、 プラスに評価はできない。

自然災害以外に埋立地で気になるのは、地盤の自然沈下です。 関西国際空港では、埋め立てから20年以上経過した今でも地盤沈下は進んでおり、 埋め立て当初から3m近くも沈下したデータも出ています。

この他に気になるのは土壌です。 山などの土で造成された埋立地では問題ないかもしれませんが、 残土や廃棄物が埋められているところでは、 土壌が汚染され、有毒ガスが発生するところもあります。 (このような場所は住宅地にはならないと思いますが)

近年、高層マンションが建てられた土地は、 転用前に工場が建っていたところもあります。 埋め立てをした際は問題がなかったかもしれませんが、 操業中に土壌が汚染されることもあります。 (築地市場の移転問題が有名)

(元々は海だから当然)人工的に作られた埋立地には元々の地主さんがいません。 作られた土地はすべてを国などの行政が所有・開発・分譲したことから、 計画的に作られた街並みが整い、 (これも当然ですが)地形に起伏がなく平坦であることから、 生活する人にとって好ましい環境が備わっています。

また、歴史的に海に近いところに従来からの都市があることから、 交通アクセスが良く、利便性も高いエリアになることも地価を高くしています。

このように表面上はとても良い地域ではあるのですが、 地中のことまで考えるとリスクを抱えており、 高いお金を払ってまで購入するのは懐疑的になります。

建築物を構築する際は、地盤調査をして、杭工事などの対策を講じることはできますが、 道路やライフライン、街全体としての地震対策まで出来ない限り、厳しいと思います。

建物に関して耐震性を意識しているにも関わらず、 地域の耐震性を考慮しないのは、ちぐはぐで矛盾している選び方ではないでしょうか。



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