不動産会社と業界:不動産流通近代化への布石(13.10.03)

「商談中」「話が入っている」「売り止め」「資料作成中」「担当がいない」「資料送る(といって送らない)」。

不動産流通の現場で問題になっている「情報操作」「情報隠し」を行う際の常套句です。

不動産を売却する際に、通常、不動産会社(仲介会社)に依頼することになり、依頼を受けた不動産会社は、一定期間の間に物件情報を国が定める機構に登録しなければならないと法律で定められております。(一般媒介は任意規定)

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宅地建物取引業法・第三十四条の二 (媒介契約)
七-5  宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が指定する者(以下「指定流通機構」という。)に登録しなければならない。
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この指定流通機構は、通称レインズと呼ばれます。

レインズに登録することは業法でも定められており、さすがにこれを故意に怠ることはまずありません。登録はするものの、しかし、情報は出したくない。このようなときに使われる言い訳が冒頭のようなものです。

なぜ、情報を出したくないのか。その理由は明確で、利益増加(成績)のためだけです。

これは不動産業者が受け取る報酬体系に問題があります。不動産業者は基本的に成功報酬であり、売却の依頼を受けてもその時点で報酬は発生しません。売却の依頼をいただいた物件が無事に売却できた場合に売主から報酬を受け取ります。

さらに、物件探しの依頼を受け、希望の物件が見つかり、売買契約が成立すれば、買主から(売主からとは別に)報酬をいただくことができます。

売主からも手数料受領、買主からも手数料受領、両方から手数料受領を略して「両手※」と言い、両手の取引にして利益を倍加させよう、という思惑で情報を隠します。※片方からのみ手数料を受領する場合を「片手」と言います。

売主の希望は「早期、好条件」での売却です。売主も消費者であり、消費者の利益を保護するために、業法では、情報を広く公開し、より早く、より良い条件の買主を探しさないとレインズ登録を義務化しています。

情報が適正に公開されれば、依頼した会社以外の会社に物件探しを依頼した購入希望者にも情報が届き、たくさんの購入希望者へ告知できます。※依頼した会社も含む。

例をあげると、売却希望3,000万円として、依頼した会社には「2,800万円なら買う人Aがいる」、その他の会社には「3,000万円でも買いたい人Bがいる」、売主はBさんに売りたいのが当然の判断となる。

この場合、情報が公開されていればBさんとの縁も持てるが、情報が隠されていたらAさんのみとなり、売主は価格を下げて売ることになる。

これは、特に大手仲介会社ほど横行しているもので、成績至上主義の弊害である。※入社時はきれいな人でも、働いているうちに染まっていってしまう。会う(取引をする)といい人なんだっと思うことが多い。

この問題は、民主党のマニュフェスト(懐かしい)でも取り上げられており、実態は把握しているもののなかなか動かなかった国土交通省もようやく重い腰を上げた。

10月よりレインズの運用規定が見直され、「元付業者(売主から依頼された業者)は正当な事由がある場合を除き情報を隠してはならない」という規定が入りました。

この他にも、「他社も含め申込順に交渉をしなければならない(売主に知らせなければならない)」「客付業者(買主側)は現地案内や交渉の結果を元付業者に報告しなければならない」などの規定も加わり、不動産流通市場の近代化への序章となることが感じられました。

これらの規定は、業者や担当者の思惑を排し透明で健全なシステム化を目指しているもので、とても画期的なことです。

正当な事由という部分がどのように運用されるか、人が介在する部分が多分に残っておりますが、今回の規定が布石となり、改善されるものと期待しています。



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