不動産会社と業界:海外の不動産流通システム(13.09.12)

各国の流通システムを考えることにより、消費者にとって今後の住宅購入・売却がいかにあるべきかを考えることができ、事業者にとっても先を見越した仲介業務のあり方を考えることができる。

1)アメリカ

状況の変化により住み替えが頻繁に行われており、将来の売却を見越した資産価値としての意識が高い。高価格で売却できるように改修や補修が活発に行われている。

日本では不動産仲介業者(不動産会社)の比重が高いことに比べ、情報と営業を担う「仲介会社」、調査や取引業務を行う「エスクロー」、住宅の検査を行う「インスペクター」、購入時の適正価格調査の「鑑定会社」など業務を分担して行われている。

業務を分担することにより、売りたいがための情報操作(秘匿)がなく、透明性が高く保たれて、円滑に安心して取引を進めることができる。

仲介業者および携わる営業担当は、業務実績や試験が必須となっており、素人がいきなり営業の現場に立ったり、異業種が利益だけを考えて安易に参入できない。この点も日本より優れている。

2)イギリス

建築制限の厳しさや住宅環境から、新築の取引よりも中古住宅の取引が数段多く、よって、不動産流通システムの役割が大きい。

住宅取引の場合、1社の仲介会社が売主、買主の双方を担当する。日本の「両手取引」とスタイルは同じだが、原則売主側に立つため、両手というよりは「売主代理」という方が近いか。

実際の取引では、仲介会社の他に、売主買主の双方に代理人となる弁護士が付き、条件交渉は弁護士同士で行われる。この点は、情報・営業を担当する仲介会社と業務面を分けているアメリカに近い。

既存住宅が取引の大半を占めることから、省エネ性能の調査、住宅調査および担保評価者などの役割は分担される。

3)ドイツ

海外の流通システムを語られるとき、大半はアメリカとイギリスが取り上げられ、ドイツの調査報告が出てくることは珍しい。

ドイツは日本の土地神話以上に土地が重要視され、建物は土地に付随するものという考え方になっており、建物のみを独立して不動産とは扱わず、建物単独の取引はできない。※日本に例えると「木や石」と同じ扱い。

情報のやり取りから交渉までを仲介業者が行うのは日本と同じ。契約に際しては公証人が介在して行われる。登記手続きも公証人が行うことから、日本であればさしずめ、契約段階から司法書士が介在するというイメージ。

※公益社団法人不動産流通近代化センター「不動産コンサルティングに関わる海外調査」参照。

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日本の不動産流通市場で言われている問題点は、1.情報の不透明さ、2.仲介業者の非監督さ、3.調査に対する低意識であり、極論を言えば、仲介業者の意識次第(性善説の依存)であり、悪い方にあたれば、やりたい放題の抜け穴だらけというもの。

売主と買主を繋げる役割(情報)である仲介業者そのものは必須だが、仲介業者(担当者)次第で良くも悪くも決まってしまう日本のシステムは、それこそ「近代化」が必要である。

今のところ、国土交通省は改善案を模索しているが抜本的な改革には踏み込めず、試験、研修などによる業者と人の教育に留まっている。



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