不動産会社と業界:不動産査定の思惑(12.09.30)

株式や債券のように、公の取引市場がなく、個々の要素が強い不動産は、財産価値を知るのは難しい。不動産を金額に見積もる行為を不動産鑑定評価とし、これは、不動産鑑定士のみが行える独占業務です。

不動産業者(宅地建物取引業者)に、不動産鑑定士有資格者が在籍しているケースは非常に稀で、超大手企業か信託銀行に限られてくるのではないか。

毎年、地価評価、路線価などが公に発表されるが、これらのように、公的なケースや相続などの裁判資料などの場合は、不動産鑑定となる。

▼不動産業者が売却の相談を受け、不動産売却価格を見積もることを、不動産査定と呼ぶ。鑑定とは、次元が大きく異なり、鑑定と呼べば、法律違反となる。

不動産の査定とは、売却価格の推定値を出すことまでに留まり、計算手法や書式など、不動産業者によりまちまちである。

不動産鑑定により計算された評価額は、ものすごい高度な技術(計算)とさまざまな角度から分析され、市場や所有者などの感情が排除され、鑑定士の思惑も排し、公平で客観的、合理的に導かれる。

不動産業者による不動産査定は、無料であることが多く、その後の営業活動と収益に結びつけるために行われるものであり、客観的ではないことが多く、査定者(営業)の思惑が満載されたものである。

▼ネットを利用した情報化時代にはいり、さまざまなものがネットを利用して比較検討できる。不動産価格の査定も、ネット上で気軽にできるようになったとはいえ、個々の要素が強いため、改めて、正式な査定をしなければならない。

不動産の売却を真剣に考えている方は、複数のサイト、業者の無料査定を、ネットを通じ行う。その後、よさげな業者に具体的な相談をするという流れが一般的。

相談を受けた業者(担当者)は、所有者が売却を依頼してくれるよう、営業要素を加味した不動産査定をする。売れる金額、客観的な金額ではなく、依頼してくる金額を出すのが不動産査定である。

ただし、あまりにも露骨に高い金額を提示すると、所有者も査定金額を懐疑的に考え、不信感にもつながる。また、売れないことに対しての後処理もあることから、この落としどころが難しく、売却査定担当者の腕の見せ所。

▼売れる金額が2,000万円という不動産として、A社:2,000万円、B社:2,500万円、C社:2,200万円、D社:1,800万円、という査定金額が出てきた。

A社は公平客観的な金額を提示し、B社は依頼を受けるために無謀な金額、C社は客観的な金額を知りつつも売り主の心理を考慮し委任を受けられそうな金額、D社は販売活動を怠っても売れる金額、というのがおよそのパターン。

所有者は、たいがい、一番上と一番下の会社を切ることが多い。松竹梅、上中下、特上・上・並、なら、中間を選びがちな心理もあり、B社とD社の営業への不信もある。

2,000万円が正当な評価だと、所有者も事実として認識されるが、やはり、少しでも高く売りたいという心理は当然である。私でも気持ちは同じようになる。結果、C社になることが多い。

この上乗せ部分の頃合いが先に紹介した腕の見せ所であり、営業の思惑と売り主の気持ちの部分である。購入側としては、2,000万円という正当な評価額であれば問題ない。この上積み部分をいかに削るかがポイントになる。

▼不動産個々の要素があることに加え、安くてもいいから早く売りたいなど所有者それぞれの事情や考えもあるから、やみくもな値引き交渉、なんでも値引き交渉、だと、失敗につながる。

とはいえ、不動産鑑定を自宅用不動産に用いるのは、まさに「鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん(論語)」。



住宅購入サポート

サブコンテンツ

このページの先頭へ