不動産会社と業界:買主側業者の悲哀(08.09.28)

不動産はひとつひとつに個性や独特の事情があり、 車や電化製品のように均一的な内容ではない。

不動産業者は、売主側から不動産の売却を依頼された不動産業者(元付け)と、 買主側から不動産探しを依頼された不動産業者(客付け)に分かれる。

これは不動産業者が、元付け・客付けと明確に分かれているわけではなく、 顧客の依頼内容によって、元付けになったり、客付けになったり、切り替わる。 ただし、自然と、不動産業者の営業形態などにより、 売却の依頼が多い業者と不動産探しの依頼が多い業者というように分かれる。

不動産業界を、元付け中心と客付け中心を分けてみると、 元付け中心という業者が大半を占め、客付け中心という業者は探してみると結構少ない。 表面上は、購入希望者歓迎と見せている業者は多いが、実態は違う。

これは、成約率(=利益)、費用対効果、労力、業務の効率などが良いため。 売主は、例外的に複数の不動産業者に売却を依頼することはあるが、 大半は一つの会社にしか依頼しない傾向にあるからであり、 業者は依頼を受けることができれば、成約に結びつく確率が高いためである。

このことから、元付け業者を目指すことになり、 売主への意識が高く、買主側への意識は低くなる。 これが業界全体に蔓延している。

不動産取引の現場は、寡占的な多数派を占める元付け側の論理や事情が強く、 ごくわずかな少数派の買主側の業者は、この非対称な力関係の中、 買主保護のために悪戦苦闘しているのが実情である。

元付け業者が大多数を占めることによる不動産取引の現場での弊害は主に2点。

1.調査不足や手抜きによる質量ともに低レベルな情報
2.恣意的意図的な情報操作と取引

不動産の取引に至るまでの簡単な流れは、 売主が不動産の売却を不動産業者に依頼→不動産売り出し情報の公開 →購入希望者より依頼された不動産業者が不動産情報の中から選定し情報を提供 →購入希望者が提供を受けた情報の中から検討し購入申し出 →売主買主の条件面調整し契約となる。

売主側と買主側双方の不動産業者が協力し合い、不動産取引に向けて携わることになるが、 この際、不動産の個別な事情や特性、法規制などを購入希望者に説明し、 不動産業者として矢面に立つのは買主側の不動産業者である。

買主側の不動産業者は、売主側の不動産業者より不動産の情報を引き出し、 それを受けて購入希望者に説明をすることになるが、 売主側の不動産業者より出される情報に問題があることが多い。 (例:これこれこういう懸念があるので、こういう資料が欲しいと請求しても、資料がありません、調査していません)

問題は、調査不足による情報量の不足、調査精度が悪いことによる情報の質の低さがあるが、 このようなことになるのは、費用の削減、手間の減少、 買主側になることが少ないことによる感覚のずれ、 売主に対して下手に出る弱さ、などに起因する。 特に成績を意識させすぎる大手の会社に顕著。

情報の紹介を受ける段階で、紹介された不動産の情報をすべて知りたいという 購入希望者側の気持ちはよく分かる。 しかし、1件だけの紹介でいいからベストな物件をというならまだしも、 他にはないの?もっとないの?という気持ちもあることから、 数件数十件の紹介になることが多く、そのすべてを紹介段階でカバーできない。

買主側の業者としては、契約締結後に問題が発覚して迷惑をかけることができないので、 契約締結前までには売主側の業者の至らない点をカバーしていくが、 大量の情報の中から選定する段階で、情報の不足を売主側業者に代わってフォローしていくのは、 費用的、物理的、時間的に無理である。

この両方を適えられないことに関し、不動産業界を代表してお詫びします。 ただ、上記のような事情があることをご理解頂き、 情報の質量を不動産探しから購入の段階に応じて上げていくということにもご理解ください。

不動産の取引市場では、登録機構(通称レインズ)に 不動産の売り出し情報を登録することになっています。 ここに登録する際、きちんとした調査をしたうえ、 すべての情報を登録するようにすれば、かなり改善されます。 この仕組みは公の機関(国交省所管)で運営されているのですから、 行政側の取り組みにも問題があります。

財務省が行なっている国有財産の売却では、情報の公開がかなりきちんとされており、 システムとしてできあがっています。 財務省にはできて、国交省にはできないのはどうしてなのでしょうか。

長文になってきたため、元付け業者による意図的恣意的な情報操作や取引については、 また別の機会にご紹介させて頂きます。

元付け業者が有利な仕組みや状況のなか、負けないように売主側と折衝・調整をし、 購入希望者側に対してのフォローをするという板ばさみになるのが買主側の業者であり、 さらに、購入希望者は数多くの不動産会社へ依頼することから成約する率も低く、 厳しい環境にあるのが買主側の業者です。

このような厳しい環境にあることが、不動産業者を元付けへと走らせるのでしょうね。 効率的で、利益も上がるのですから、せめて、調査の徹底と適確な情報提供だけは、 元付け業者にお願いしたいものである。

元付け業者の担当者だって、なにか物を買う時に、担当者から 「分かりません、あとで調べます」と言われたら嫌だろうに、自分の仕事の時は平気で行なう。 もう少し、購入者のことへ意識を向けられればいいのだが、 購入者の人生を軽く考えすぎ(考えていない)。一生に何度とない大きな買い物なのだから。



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